活動報告 - 最新エントリー


◆句会は原則として毎月第2土曜日の午後1時から3時40分まで、主として久我山会館・高井戸地域区民センター等で開催しております。(出席者は10名程度)一度ふらっと覗いてみて下さい。その上で、ぜひ仲間になって下さい。
句会が終わると駅前の蕎麦屋でちょこっとやったりもします。


◆毎回、その月の作品を紹介いたします。
    
・7月の作品の紹介
(先月まで選句は陶光先生でしたが今月から各自選とします)

・7月の兼題は、「夏草」・「当季雑詠」で3句です。
                出題:安西 円覚                
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・夏草に延びてからまる牛の舌       高浜 虚子
・夏草に汽罐車の車輪来て止る       山口 誓子
・夏草や手ふれて見たき仏の朱       加藤 楸邨
・長柄大鎌夏草を薙ぐ悪を刈る       西東 三鬼
・伸びることのみに徹する夏の草      福田 甲子男

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俵木 陶光

・夏草や怒涛うけとむ城ケ島


岡村 一道

・キューポラの在りし街並夏の草


芳村 翡翠

・夏草や声なき兵士埋もれゆく


長岡 帰山

・夏草の匂ひ残して刈られけり


安西 円覚

・夕さりの夏草の中獣の眼


片山 朝陽

・廃線を覆い尽して夏の草


堀 秀堂

・夏草や夜空を飾る大文字


浦田 久

・夏草や溢れし緑に夜の露


山下 天真

・夏草や遥かな富士と背くらべ


関口 静安

・亀の鳴く老人ホームの甲羅焼き


小林 美絵子

・夏草へ四つ葉生まれる薄曇


中邑 雅子

・水門の鉄鎖の錆や草いきれ

 
坂井 百合子

・帰りたる子ら夏草の匂ひして


五井 夢

・火の用心!夏夜に淀む爺の声


荻須 節子

・秘密基地あつたはずだね夏の草


菊池 幸

・眉山
(びざん)越え光となりぬ燕の子

山路 久美子

・極北にリラの香りと半月と


村林 小枝子

・くちなしの甘き香りや光る白


吉野 かおる

・夏草に補助輪外す男
(お)の子かな


◆私の一句
    
  蝶の旅この海峡を越へむとす
 中邑 雅子

 2年ほど前、晩秋の高知県立牧野植物園を高知を訪れた旧友と散策していた時のこと、珍しい蝶が群れて飛んでいる場所があり、カメラを手にした老婦人が私達に話しかけてきました。
「アサギマダラ、ご存知ですよね。”彼ら”はこの花『フジバカマ』が大好きなんですよ」
珍しいこの蝶は「アサギマダラ」でした。確かに”彼ら”はフジバカマの周辺を飛んでいて他の花へは移って行こうとしません。
更にその女性は、
 「この蝶は『渡り』をすることで有名ですよ。私は今日この蝶を撮影に来たんです。」
そう言われて周りを見回すと何人かの人がカメラを構えてシャッターチャンスを狙っています。友人と私は納得して、しばしその風景を眺めたことでした。
 後日、図書館で「アサギマダラ」についていくつか調べてみました。
「アサギマダラ」(マダラチョウの仲間)は翅の白っぽい部分が浅葱色(水色)にも見えることからこう呼ばれる。”彼ら”は春から初夏にかけて沖縄から北上し、本州などで世代交代した後、秋には南をめざして移動する。日本には移動する昆虫としてアキアカネやイチモンジセセリがいるが長い距離を移動するのはアサギマダラだけである。”彼ら”が「旅」をすることがわかったのは1981年なのでその生態や「旅」の謎は解明されていない点が多いが最近はマーキング調査でかなりの情報がわかるようになった。
 基本的には近畿から東北地方にかけての標高1000m前後でヨツバヒヨドリという花の咲いている場所でよく見られるとのことですが、確かにフジバカマはヨツバヒヨドリによく似ています。秋の七草のひとつとしてよく知られているフジバカマはかって河川敷などで見ることができましたが今では絶滅危惧種になっています。
 アサギマダラが「旅」をするとわかり、安西冬衛の有名な一行詩の、
「てふてふが一匹韃靼海峡を渡って行った。」を思い出し、恥ずかしながら「本歌取り」を試みたというのが本音です。ちなみに学術的には「蝶」は昆虫なので「一匹」ではなく「一頭」と数えるのだそうです。
 
 

◆次回の定例句会は、8月10日(土)13時〜15時40分
                於 高井戸地域区民センター 
  兼題は、「踊」・「当季雑詠」の3句提出
                               
◆句会についてのお問い合わせ先: 安西 光昭(円覚)まで
                 TEL 090-3145-2654

◆句会は原則として毎月第2土曜日の午後1時から3時40分まで、主として久我山会館・高井戸地域区民センター等で開催しております。(出席者は10名程度)一度ふらっと覗いてみて下さい。その上で、ぜひ仲間になって下さい。
句会が終わると駅前の蕎麦屋でちょこっとやったりもします。


◆毎回、その月の作品を紹介いたします。
    
・6月の作品の紹介
・6月の兼題は、「入梅」・「当季雑詠」で3句です。
                出題:安西 円覚
                選句:俵木 陶光
              
       
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・樹も草もしずかにて梅雨はじまりぬ       日野 草城
・梅雨に入る仕立屋の炉は低きまま        香西 照雄
・大寺のうしろ明るき梅雨入かな         前田 普羅
・ひそかなる恋そのままに梅雨に入る       桂 信子
・かたつむり甲斐も信濃も雨のなか        飯田 龍太





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俵木 陶光

・息とめて弓まっすぐに梅雨の的


岡村 一道

・傘逆さ子等下校する走り梅雨


芳村 翡翠

・月いでて箱根のやまも梅雨入かな


長岡 帰山

・現
(うつつ)とも夢とも梅雨の古代蓮

安西 円覚

・半世紀弾かれぬピアノ梅雨に入る


中邑 雅子

・花束の重さよ今朝の梅雨入かな


小林 美絵子

・黒いつえテーブルに掛け梅雨に入る


片山 朝陽

・古武道の立ち居や黙の技涼し


堀 秀堂

・梅雨に入る海賊船の見え隠れ


浦田 久

・万物の生長願ふ梅雨入かな


荻須 節子

・入梅や夜の銀座のクレーン車


村林 小枝子

・梅雨重く空と海との境なし

 
菊池 幸

・野に満つる草の息吹や夏点前


五井 夢

・雨垂れの滴一滴梅雨に入る


坂井 百合子

・梅雨に入りようやく終えし洗濯機


◆私の一句
    
  降り立ちてより日本の鶴となる
 長岡 帰山
 
 自分の想いを感情と共に表現できる物は、幸せ者である。
 感情と共にその場や表現のスタイルに出会える人は幸せ者である。
 そうでなければ私達の心に願いつづけているそれらは、形をなすことなく次々と流産していくばかりである。

 折々の感情や概念は、表現されることによって周囲や自分自身にとっても、確かなものとなる。
したがって、私達の表現がその場の存在証明にかかわる緊迫した課題となる。

 それが季語を有する十七音の韻文であっても、気功太極拳・白鶴の舞であっても全く変るものではない。その約束を共有して伝統を守るか、自由に他の表現様式をとるかは、現代の個人の詩(ポエム)たらんとするとき葛藤をはらむのだ。

 空中に曲がり角あり鬼やんま   帰山


     
◆次回の定例句会は、7月13日(土)13時〜15時40分
                於 高井戸地域区民センター 

  兼題は、「夏草」・「当季雑詠」の3句提出
                               
◆句会についてのお問い合わせ先: 安西 光昭(円覚)まで
                 TEL 090-3145-2654
◆文責:  俵木 敏光(陶光)

◆句会は原則として毎月第2土曜日の午後1時から3時40分まで、主として久我山会館・高井戸地域区民センター等で開催しております。(出席者は10名程度)一度ふらっと覗いてみて下さい。その上で、ぜひ仲間になって下さい。
句会が終わると駅前の蕎麦屋でちょこっとやったりもします。


◆毎回、その月の作品を紹介いたします。
    
・5月の作品の紹介
・5月の兼題は、「豆飯」・「当季雑詠」で3句です。
                出題:安西 円覚
                選句:俵木 陶光
              
       
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・豆飯や軒うつくしく暮れてゆく       山口 青邨
・蓋取れば湯気もみどりの豆の飯       松本 恒子
・豆飯や小鳥のやうに豆を食ふ        上野 美智子
・空ひろき越後に社の笹粽          森  澄雄
・美しき緑走れり夏料理           星野 立子




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俵木 陶光

・豆飯や平成雨で終りたる


岡村 一道

・今日も炊く新婚の日の豆の飯


芳村 翡翠

・家族皆戦争知らず豆の飯


安西 円覚

・おそらくは十年ぶりの豆ご飯


片山 朝陽

・喉見せてこぼれんばかり燕の子

小林 美絵子

・豆ご飯母は水玉ワンピース


中邑 雅子

・豆飯のおにぎり二つ妻の留守


荻須 節子

・小鳥バス分水嶺は五月晴れ


長岡 帰山

・万緑や中に朱色の五重塔

 
山下 天真

・ブローニュの森の木洩れ日風薫る


山路 久美子
 
・光り満ち風吹き渡る竹の秋
 

菊池 幸

・遠き日の思い重ねし二輪草


坂井 百合子

・夕餉にはまず豆ご飯豆ご飯


堀 秀堂

・豆飯の豆を掴めぬ子供達


村林 小枝子

・香の皿豆飯味噌汁あさの膳


五井 夢

・師の旗をなびかせて行く夏のデモ


浦田 久

・思い出は豆飯炊ぐ母の顔



◆私の一句
    
  雪吊を解かれて松の深呼吸
 片山 朝陽
 
  東京オリンピックを1年後に控えて慌ただしくなってきました。前回は開会式を生で観戦したので今回は男女マラソンを早朝の沿道で観戦しようと考えています。他の競技は全てテレビで観戦予定です。  
私が38才の時、開催されたミュンヘンオリンピックに18名の団体に加わり西ドイツに出向きました。たまたま西ドイツ在住の日本人の友人がおり、私を案内したいとの事でした。団長の特別許可を得て3日間だけ団体と別行動 をとる事になりました。友人の案内の2日目の夕方、フランクフルトの市内のある会社のビルの前に車が50台程長い列を作って並んでいました。友人の話では、奥様連中がご主人を迎えに来ているのだという事でした。主人は夕方5時までは会社のもの、5時以降は私のものという妻の考えに基づく日常の光景との事でした。私はこの話を聞いて以降、日本においても色々な物事を判断する上で大変役立つ経験となりました。
 
 月刊誌「銀座百店」に投稿入選した句

   朝市や露の宿りし野菜買ふ
   ワイパーの力出し切る梅雨深し
   パントマイムの眼(まなこ)うごきて秋暑し
   盲導犬牡丹のそば歩を緩め
   大泣きの目出度き稚(やや)の初湯かな
   秋風に老犬しっぽもて答ふ      
   
◆次回の定例句会は、6月8日(土)13時〜15時40分
                於 高井戸地域区民センター 

  兼題は、「入梅」・「当季雑詠」の3句提出
                               
◆句会についてのお問い合わせ先: 安西 光昭(円覚)まで
                 TEL 090-3145-2654
◆文責:  俵木 敏光(陶光)

◆句会は原則として毎月第2土曜日の午後1時から3時40分まで、主として久我山会館・高井戸地域区民センター等で開催しております。(出席者は10名程度)一度ふらっと覗いてみて下さい。その上で、ぜひ仲間になって下さい。
句会が終わると駅前の蕎麦屋でちょこっとやったりもします。


◆毎回、その月の作品を紹介いたします。
    
・4月の作品の紹介
・4月の兼題は、「蝶」・「当季雑詠」で3句です。
                出題:安西 円覚
                選句:俵木 陶光
              
       
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・おんひらひら蝶も金毘羅参りかな      小林 一茶
・日盛りに蝶のふれ合ふ音すなり       松瀬 青々
・方丈の大庇より春の蝶           高野 素十
・蝶墜ちて大音響の結氷期          富沢 赤黄男
・てふてふが一匹韃靼海峡を渡って行った   安西 冬衛
・日本語をはなれし蝶のハヒフヘホ      加藤 楸邨



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俵木 陶光

・山頂を離れし胡蝶一直線


岡村 一道

・機関車の鋭き笛や猛き蝶


芳村 翡翠

・てふてふが遠足の子のあと先に


安西 円覚

・約束のやうに蝶来ぬ寛永寺


片山 朝陽

・百年の瘤
(こぶし)の力花に葉に

長岡 帰山

・蝶ふたつ牛の鼻面
(はなづら)舞ひ遊ぶ

山下 天真

・人声は遠くかすかに山ざくら


小林 美絵子

・寺町は空広き町初つばめ


中邑 雅子

・蝶の旅この海峡を越へむとす
 

坂井 百合子

・まとひ付く蝶よあなたは誰ですか

 
荻須 節子
 
・警笛が遠くで鳴りし蝶の昼
 

菊池 幸

・牛の背に日向ぼっこの黄蝶かな


山路 久美子

・訪
(おとな)ひ遊ぶ君が墓前に蝶の舞ひ

堀 秀堂

・使者の蝶庭ひと巡りして去りぬ


浦田 久

・蝶の昼花に飛び交ひ天空へ


五井 夢

・たねまいた ちょうちょ咲いたと指さす子


村林 小枝子

・花くぐり花をくぐりて神田川


篠 幹子

・花吹雪蝶の舞うのを見るようだ


◆私の一句
    
底冷えに鑑真和上目を瞑
(つむ)
          
芳村 翡翠   
奈良に行くと唐招提寺という壮麗なお寺があります。そこに国宝である日本最古 の肖像彫刻があります。鑑真和上(がんじんわじょう)の坐像です。目を瞑られ 結跏趺坐を組まれ、掌は法界定印をむすんでおられます。目を瞑ってというよりは、 すでに盲いられたお姿なのですね。
鑑真和上は唐の揚州に生まれ、14歳で出家し、洛陽・長安で修行を積み、713年に故郷の大雲寺に戻り、江南第一の大師と称されました。
天宝元年(742)、第9次遣唐使船で唐を訪れていた日本人の留学僧・栄叡(ようえい)、普照(ふしょう)から、朝廷の「伝戒の師」としての招請を受け、渡日を決意。その後の12年間に5回の渡航を試みて失敗、次第に視力を失うこととなりましたが、天平勝宝5年(753)、6回目にして遂に日本の地を踏まれました。
以後、76歳までの10年間のうち5年を東大寺で、残りの5年を唐招提寺で過ごされ、天皇を始めとする多くの人々に授戒をされました。日本に仏教の教えを伝えるために決死の覚悟の行動なのでした。なぜ他国である日本にそれほどの苦難を越えて尽くされたのか驚くばかりです。
和上が目を瞑られたのは底冷えのせいではないでしょう。しかし、私には底冷えの厳しさの中の和上の目を瞑られた坐像をみる時感動を覚えるのです。
                             
   
◆次回の定例句会は、5月11日(土)13時〜15時40分
                於 高井戸地域区民センター 

  兼題は、「豆飯」・「当季雑詠」の3句提出
                               
◆句会についてのお問い合わせ先: 安西 光昭(円覚)まで
                 TEL 090-3145-2654
◆文責:  俵木 敏光(陶光)

◆句会は原則として毎月第2土曜日の午後1時から3時40分まで、主として久我山会館・高井戸地域区民センター等で開催しております。(出席者は10名程度)一度ふらっと覗いてみて下さい。その上で、ぜひ仲間になって下さい。
句会が終わると駅前の蕎麦屋でちょこっとやったりもします。


◆毎回、その月の作品を紹介いたします。
    
・3月の作品の紹介
・3月の兼題は、「花冷」・「当季雑詠」で3句です。
                出題:安西 円覚
                選句:俵木 陶光
              
       
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・満月を上げて八分の花の冷え    森 澄雄
・花冷や箪笥の底の男帯       鈴木真砂女
・手袋の指先ふかき花の冷      田辺香代子
・花冷の修羅の調停成りにけり    市橋 千翔
・花冷の紅ひきなほす逢瀬かな    立花 波絵
・野点前ことに花冷え志野茶碗    松本 恒子



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俵木 陶光

・花冷や波に乱れし都鳥


岡村 一道

・水温む絶滅危惧のチンドン屋


芳村 翡翠

・静かなる花冷えの街通り過ぎ


安西 円覚

・花の冷え眼鏡のくもり拭きにけり


片山 朝陽
 
・床屋出で余寒首筋走りたる


長岡 帰山

・花冷や優しく抱いてくれないか


中邑 雅子

・刀剣の「複製」とあり花の冷え


小林 美絵子

・花の冷え京の四条の串だんご


坂井 百合子

・花冷えのライトアップや人の波
 

五井 夢

・花冷えやゴディバのチョコの流し目よ

 
山下 天真
 
・白熊の剥製の目に余寒あり
 

浦田 久

・花冷えや開花宣言待ちこがれ


堀 秀堂

・花冷えに甘味処で暖をとり


関口 静安

・老桜コーラスの美しハーモニー


菊池 幸

・春水やさらさらさらと信濃川


荻須 節子

・落椿記憶の君はそのままで


山路 久美子

・花冷にふと寄り添ひて夜の道


村林 小枝子

・花冷えの川沿いの道花菜道



◆私の一句
  花冷えや我が平成も長かりし
俵木 陶光

64年間激動の連続であった「昭和」から、「平成」に代わる時も様々なことがあった。
 昭和63年9月、昭和天皇の病状が悪化して、皇居前には見舞いの記帳所が設けられていた。当時K女子大学の教務課長でもあった小生は、校舎毎に放送係を決め、こんなメモを渡していた。
 「天皇陛下は本日〇時〇分崩御されました。謹んでお知らせいたします。本学においても深く哀悼の意を表するため、本日と明日の授業を休講といたします」。
 大学祭の時期でもあったので、学生課は「ことが起った場合」として玄関や校外の装飾は取りやめていた。実際に昭和天皇が崩御されたのは1月7日、、冬休み中だったので学内の放送はなかった。テレビで知ったわけであるが皇居前には弔問の記帳所ができていた。昭和1ケタの小生にとっては胸にじんと来るものがあったので直ぐに出かけて記帳所の列に加わった。東京駅に戻ってくると早くも朝、毎、読、東京、日経など16ページにも及ぶような特集記事の夕刊が配られていたのですべて手にした。新しい年号の「平成」の文字も大書されていた。
 当時は教務課にいたが、その後、学生課、就職・進路課なども経験し平成9年定年退職した。合計40年のうち、入学試験関係、教授会対応、卒業判定、文部省対応の事務処理等色々大変であった。
 一例をあげると、ある科目の入試問題担当者が途中で入院してしまった。入試問題の印刷所から戻って来た校正日、すべての科目の教員たちの校正が終ってから八王子の病院まで、学校の車で駆けつけ病室で校正の終るのを待ち、付き添いの教員と学校まで戻り金庫に納め夜中に帰宅したことなど。全体では2学部、短大2学科の試験、合格発表等々10日ばかり学校近くの旅館に泊り込んでいた。その他夜間部、別科の処理なども行なった。受験生が一気に増えた頃は特に大変であった。
 一方、俳句の方は、昭和47年頃、大学の職員の中から俳句の同好会が生れて、1年後には立派すぎる合同句集が出来上った。その他の句会を含めると今まで14冊(平成に入っては10冊)の合同句集が生れた。その中からいくつかの句を並べてみた。

   ・卒業子去り講堂は椅子ばかり    陶光
   ・夏蝶のひらり合掌造りかな     
   ・女傘させばまばゆき送り梅雨    
   ・白シャツをかけてハンガー空を飛ぶ  
   ・カステラのごとき小春の午後となる 

 最近は杉並区内の老人ホームでも俳句会をやっている。
その中でこんな句も、
   ・手に受けて水のやはらぎ春近し  より子(101才)
 さて平成の次は?気になる字だけは御免被りたいが。
   ・なつかしき平成さよなら春惜しむ  陶光
                      
                           
   
◆次回の定例句会は、4月13日(土)13時〜15時40分
                於 高井戸地域区民センター 

  兼題は、「蝶」・「当季雑詠」の3句提出

                                
◆句会についてのお問い合わせ先: 安西 光昭(円覚)まで
                 TEL 090-3145-2654

◆文責:  俵木 敏光(陶光)
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