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活動報告 - 俳句同好会 (白木蓮俳句会) (H.29.9.9)  No.91

俳句同好会 (白木蓮俳句会) (H.29.9.9)  No.91

カテゴリ : 
俳句同好会
執筆 : 
m-anzai 2017-9-30 10:50

◆句会は原則として毎月第2土曜日の午後1時から3時40分まで、主として久我山会館・高井戸地域区民センター等で開催しております。(出席者は10名程度)一度ふらっと覗いてみて下さい。その上で、ぜひ仲間になって下さい。
句会が終わると駅前の蕎麦屋でちょこっとやったりもします。


◆毎回、その月の作品を紹介いたします。俵木陶光選。
    

・9月の作品の紹介
・9月の兼題は、「新涼」・「当季雑詠」で計3句です。

<兼題「新涼」について>
 夏の涼しさは思いがけないひとときの涼しさであるが、新涼は季節の変り目を実感する涼しさである。芭蕉の奥の細道には涼しさの句が多く見られる。「涼しさやほの三日月の羽黒山」「涼しさをわが宿にしてねまるなり」その他。新涼(秋涼し)の句も一つ「秋涼し手毎にむけや瓜茄子」。現代版の新涼では・「新涼や白きてのひらあしのうら(川端茅舎)・メトロ出て銀座八丁秋涼し(高木当潮)・新涼の石伐り出すや石の声(佐伯昭市)などなど。その後、やや寒、秋寒となり秋が深まってゆく。
 
俵木 陶光

・新涼や燕の帰る日も真近


岡村 一道

・赤蜻蛉番(つが)ひて空の絵となりぬ


芳村 翡翠

・新涼やワイングラスの紺深し


長岡 帰山
 
・風の戸を押して花野の人となる

片山 朝陽
 ・秋冷の渦や哀史の壇の浦

安西 円覚
 ・生姜磨る武骨な指や漁師飯

峯岸 まこと
 
・新涼の尾根へ気球の浮上せり


中邑 雅子
 ・新涼や楷書の風の吹き渡る

小林 美絵子

・砂子って父の教える星祭


坂井 百合子
 
・新涼を吸い込んでさあ月曜日

浦田 久
・煙立つ寡夫(やもめ)暮らしの秋刀魚かな

堀 秀堂
・新涼の銀座甘栗クラブ用

関口 静安

・新涼や人も穏やか介護の手

        
山下 天真

・新涼の窓開け放つ夜明かな


五井 夢

・爽やかや赤き心は制服に


                          
◆<私の一句> 
           
雲遠く与謝野公園法師蝉  
                  
俵木 陶光

 環八のバス停「荻窪4丁目」から一寸入った所に与謝野公園がある。
関東大震災の後、与謝野鉄幹・晶子夫妻がここに家を建て晩年を過ごした所である(鉄幹は10年、晶子は15年)。今は更地で樹木が何本か残っている程度で公園というより空き地と云った所である。ただ、二人の短歌の碑が20〜30ほど点在しているのが違っている。こんな歌もある。

・われ男の子意気の子名の子つるぎの子詩の子恋の子ああもだえの子 鉄幹(明34)

・男をば罵る彼ら子を生まず命をかけず暇あるかな 晶子(明45)

時折、ここに寄って見るが人の姿が殆どない。

 与謝野晶子は、明治八年大阪堺の近郊で生まれた。
生家は江戸末期から続いた名だたる菓子の老舗で、兄は東京帝大理工学部・博士・教授、弟は家業を継ぎ、日露戦争にも召集された。このことについて晶子は『明星』に長い詩を書いて問題となった(明37・26才)

「君死にたもうことなかれー旅順口包囲軍の中に在る弟を嘆きて」

  あゝおとうとよ君を泣く 君死にたまふことなかれ
・・・・・・・・
  親は刃(やいば)を握らせて 人を殺せとをしへしや
          ・・・・・・・・
  旅順の城はほろぶとも   ほろびずとても何事ぞ
          ・・・・・・・・
この詩に対して歌人大町桂月は『太陽』に激しい非難文を寄せて「日本国民として許すべからざる悪口なり、毒説なり乱臣なり・・・」と攻撃している。論争もあり、投石、脅迫も受けたが逮捕もされず執筆禁止もなかった。一般の人達の目にはふれることもなく、気まぐれで、根のない詩として見逃されたのだろうと言われていた(当時、社会主義者12名が死刑になったにもかかわらず)。


 与謝野晶子と言えば何と言っても『みだれ髪』。20才で鉄幹を知り短歌が湧き出したのである。旧守派からは淫蕩などと評されたが、太陽が昇るごとく衝撃的なものであった。翌年、鉄幹と結婚し長男光(上田敏命名)も誕生した(24才)(子供は全部で11名)。

改めて代表歌5首ほど

・その子二十櫛にながるる黒髪のおごりの春のうつくしきかな

・やは肌のあつき血潮にふれも見でさびしからずや道を説く君

・鎌倉や御仏なれど釈迦牟尼は美男におはす夏木立かな

・金色のちひさき鳥のかたちして銀杏ちるなり夕日の岡に

・ああ皐月仏蘭西の野は火の色す君も雛罌粟(コクリコ)われも雛罌粟

 明治44年平塚らいてうの婦人解放誌『青踏(せいとう)』誌創刊に際し詩を送っている。
     山の動く日来たる・・・
     すべて眠りし女(おなご)今ぞ目覚めて動くなる
 それから80年後、平成元年東京都議選で社会党委員長土井たかこが、予想外の大躍進に際して「山は動いた」と声を挙げ、新聞にも大きな見出しとなっていた。
今年は没後75年に当たる。
                               
◆次回の定例句会は、10月14日(土)午後1時〜3時40分
               於 高井戸地域区民センター 
 兼題は「月」・当季雑詠で計3句です。

                                     ◆句会についてのお問い合わせ先: 安西 光昭(円覚)まで
                 TEL 090-3145-2654

◆文責:  俵木 敏光(陶光)

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